HOME/

正しい石けん洗濯のやりかた


 石けんは安全で環境に優しいと信じて使い始めたけれど、溶けにくい、石けんカスができる、泡立たないなど、洗濯がうまくいかない方も多いと思います。ここでは、石けんを使った洗濯の基礎を、わかりやすく説明します。石けんは合成洗剤と違って、ちょっとコツがいりますが、うまく使いこなせば、汚れ落ちはパワフル、仕上がりもふっくらになります。石けん洗濯のノウハウ大公開です。

 1.水を選ぶ 

 同じ石けんを使っても、洗濯に使う水によって、石けんの使いやすさ、仕上がりは全く違います。特に大きく影響するのは、水の @硬度 と A温度 です。

 硬度の高い水は石けんカスができやすく、石けんが溶けにくい、石けん使用量が増える、衣類に石けんカスが残留して黄ばみの原因になるなど、石けん使用には向いていません。水道水の硬度は こちら で調べることができます。日本の平均硬度は50程度ですが、首都圏や、九州は硬度が高く、石けんは使いにくくなります。井戸水も硬度が高いものが多く、石けん洗濯には向きません。このような硬度の高い水をお使いで、どうしても石けんカスが気になるようでしたら、簡単な軟水器を使ってみるのもおすすめです。軟水を使うと石けん使用量は約半分ですみ、洗浄力は格段に高まり、石けんカスもできません。軟水器は5000円以下で入手できるので試してみる価値は十分あります。

 石けんは合成洗剤に比べて冷水に溶けにくいので、できれば温水を使いたいものです。水資源の節約と石けんの使いやすい温度の高い水として、お風呂の残り湯の利用を強くおすすめします。すすぎ1回目まで残り湯を使えば、石けんカスの残留も少なくなります。理想的なのは、軟水器で浴槽に給湯し、その残り湯を洗濯に使うことです。

 もし、お風呂の残り湯が利用できない場合でも、無理にお湯を沸かさないでください。毎日の洗濯にわざわざお湯を沸かすのはエネルギーの無駄で、家計に負担をかけるだけでなく、地球温暖化にもつながります。何のために環境に優しいはずの石けんを使うのかわからなくなります。
 確かに、温水の方が洗浄力は高くなりますが、冷水であってもきちんと溶かすなどの工夫をすれば十分洗浄力はあります。コープこうべの洗浄力試験では、石けんの洗浄力(汚れの落ち具合)は、水温15℃で73%、水温35℃では78%でした。名古屋市消費生活センターの洗浄力試験でも、汚れの落ち具合は10℃では54.6%、30℃で58.8%と、低温でも洗浄力は極端には低下していません。


 2.石けんを選ぶ 

 洗濯用石けんは大きく分けて以下の3種類がありますが、それぞれの性質をよく知って、うまく使い分けてください。

炭酸塩入り粉石けん 特徴:石けん分60〜90%、アルカリ助剤として炭酸塩(炭酸ナトリウム)が10〜40%が加えられている粉石けん。
長所:値段も安く、助剤の働きで、洗浄力も高い。
日常の洗濯にはもっとも適している
短所:アルカリが強いのでウールには使えない。硬度が高い水で使うと、仕上がりがごわごわになり、吸水力も落ちる。
100%純石けん 特徴:助剤が含まれていない石けん分100%の粉石けん。アルカリ度は弱い。
長所:
ウールやおしゃれ着洗いにも使える。軟水と一緒に使うと、仕上がりはもっともふわふわになる
短所:洗浄力は炭酸塩入りの石けんには及ばない。硬度が高い水では使用量も多く、その分環境負荷も高くなる。値段も高いものが多い。
液体石けん 特徴:水に溶けやすいカリ石けん。助剤は入っていないか、ごくわずか。
長所:液体なので冷水にも溶けやすい。純石けんと同じでウール洗いにも使える。
短所:
もっとも高価、毎日の洗濯に使うには不経済。水を買っているようなもので輸送時によけいなエネルギーが必要。洗浄力は弱い。洗濯機にもっともカビが生えやすい。石けんカスは同じようにできる。

 100%純石けんが高級のような印象を持たれる方もいますが、日常の洗濯には向いていません。日常の洗濯には炭酸塩入りの石けんを使い、純石けんはウール洗いや、特にふわふわに仕上げたい場合に使うなど使い分けが必要です。
 液体石けんは、水に溶けやすく使いやすそうに見えますが、洗浄力が低く、値段が高い、そして石けんカスもできやすく、洗濯機に一番カビが生えやすいのも液体石けんです。これも、おしゃれ着洗いや部分洗い、あるいは粉石けんの補助的な使い方に用いるとよいでしょう。

 粉石けんは種類も多く、値段も、性質もいろいろなものがあります。詳しくは 粉石けんの選び方 を参照してください。
 硬度の高い地方では、そよ風、自然丸、スノール、まるは、高密度、ポートなどが適しています。
 残り湯が使えない環境の方は、冬場は水温が低いので、溶けやすい石けんとして、石けんの街、そよ風、米ヌカ石けん、自然丸などが適しています。

 粉石けんは毎日使うものですから、値段と入手しやすさも重要なポイントです。通販で取り寄せるのもいいのですが、運送費がかかりますし、その分よけいな運送エネルギーもかかります。近くの薬局、スーパーなどで入手しやすいものを選ぶとよいでしょう。
 生協もいい石けんを扱っています、首都圏なら生活クラブ生協からエスケー石鹸製の良質の粉石けんが、パルシステムから、硬度に強い「やっぱり石けん」などが入手できます。関西圏ならコープ自然派が石けんを扱っています。九州ならグリーンコープがボーソ油脂製の冷水に溶けやすく、硬度に強い「しゃぼん」を扱っています。


 3.洗濯機を選ぶ 

 石けん洗濯は合成洗剤と違って、@石けんを水に溶かしやすい、A泡の状態を確認できる、B黒カビができにくく、掃除しやすい ことが求められます。市販されている洗濯機は大きく分けて3種類ありますが、それぞれの特徴は以下の通りです。

二層式洗濯機 長所:洗濯槽と脱水槽が分かれていて、洗濯と脱水が独立してできるので、汚れに応じて洗いわけができる。洗濯液の使い回しもできる。洗濯槽が二重でないので黒カビも発生しにくい。値段が安い。
短所:容量が小さい。手間がかかる。
かくはん式全自動洗濯機 長所:容量が大きいものもあり、大量の洗濯物を一度で洗濯できる。全自動で手間がかからない。場所もとらない。水、電気の使用量も少なく経済的
短所:洗濯槽が二重なので、
内槽と外槽の間に黒カビが発生しやすい。全自動なのに、石けんを溶かすのによけいな手間がかかる。
ドラム式洗濯機 長所:洗濯時の水量が少ない。たたき洗いなので痛みが少ない。
短所:乾燥時にも水を使うので節水にならない。
洗濯時間が長い。電気消費量が多い。故障が多い。石けん洗濯時に泡消し機能が働き石けんが薄められる。石けんの使用量を決めるのにコツがいる。

 かくはん式全自動洗濯機がもっとも普及していて、値段も比較的安く、総合的にはよいと思います。メーカによって特徴があるので、よく検討する必要があります。国民生活センターのテストも参考になります。種類もいろいろあるので迷ってしまいますが、テスト結果からも、遠心力洗濯機は石けん洗いに向いていません(溶け残りや石けんカスが全部洗濯物にたまります)。洗浄力が飛び抜けて高いのは日立の軟水で洗う洗濯機(現在市販されていません)でした。
 ステンレス製内槽の方が石けんカスが付着しにくく、黒カビの発生が抑えられます。また、洗濯槽掃除コース付きの洗濯機もあります。

 この1〜2年はドラム式洗濯機も増えています。ドラム式洗濯機の性能については国民生活センターがテストしていますが、従来の洗濯機より、@使用水量、電気代がかかる、A運転時間が長い、B乾燥時にしわができやすい、Cフィルターが詰まりやすい、D洗濯途中でよく止まる、E少量の洗濯物が洗濯できない、などまだまだ完成した製品とはいえないようです。電気製品量販店などでは付加価値が高く、高価格で売れるため勧められることが多いようですが、よく内容を確かめてください。

ドラム式洗濯機は石けん洗濯に適しているか?
「石けんを溶かさなくて、洗濯物にぱらぱらふりかけるだけで洗濯できる」など、ドラム式洗濯機は石けん洗濯に楽のように思われる方もいますが、ドラム式洗濯機といえども冷水で洗濯すると石けんの溶け残りができて、黒カビの原因になるのは同じです。また、ドラム式洗濯機は低発泡性の合成洗剤を使うことを前提に開発されています。泡立ちのよい石けんを使うと、泡があふれてモーターや電気回路にかかって故障の原因になります。泡消し機能がある洗濯機もありますが、そのために石けん液が薄められ、石けんも水も無駄になり、洗濯時間も長くなります。ドラム式洗濯機で石けんの適正使用量を決めるにはかなりコツが入ります。
 さらに、黒カビを掃除するときにも、ドラム式洗濯機は使用水量が少なく、洗浄剤を入れて浸け置きしようにも、汚れているドラム全体が水に浸かっていないためうまく洗浄できません。


 4.洗濯物、水、石けんの量を決める 

 洗濯機の容量が大きくなり、一度に大量の洗濯物をまとめて洗濯できるようになりました。まとめて洗うと、少量ずつ何回も繰り返して洗うより、手間も、水、電気も節約できます。「汚れ物をまとめて1回で洗う」のが、洗濯の基本です。
 「汚れたら洗う」から「着たら洗う」という習慣が増えつつありますが、このような過剰な清潔志向は、無駄な洗濯を増やし、水や電気を浪費し、地球環境を悪化させます。限られた資源を大切にする一歩が洗濯の工夫からです。

 洗濯機の容量が増えたからと言って表示されている容量が表示通り洗濯できるわけではありません。国民生活センター、日本石けん洗剤工業会、ミプロの報告書など複数の機関の調査からも、実際に洗濯できる量は表示の7〜8割程度とされています。
 つまり、7kg洗いの洗濯機でも実際は5.6kg程度しか洗えない、洗濯物を詰め込みすぎると、汚れが落ちないので、かえって不経済ということになります。

 次に、石けんの使用量を考えてみましょう。下の図は石けんの濃度と泡の高さを示したものです。泡の高さと洗浄力はほぼ相関があるので、縦軸は洗浄力と考えてもかまいません。
 石けんは濃度が低いと、そのすべてが石けんカスに変わって全く泡立ちません。このような状態で洗濯しても、石けんカスの中で洗濯物が回っているだけで、汚れが落ちるどころか、石けんカスを付着してかえって汚してしまうことになります。
 では、石けんは多ければいいかというと、図からわかるように、石けんを2倍、3倍入れても洗浄力はあまり変わりません。無駄なだけでなく、環境への有機物負荷も高めてしまいます。
 石けんの適正使用量は、図のように狭い範囲にあります。合成洗剤だと、結構いい加減に量を量っても、そこそこ洗浄力はあるのに対して、石けんの場合は正確に量を量る必要があります



注意する点

(1) 専用の計量カップやスプーンを使う
 粉石けん用の計量スプーンを使っていますか?合成洗剤用のスプーンを代用していませんか?
合成洗剤用の計量スプーンは1杯が35gくらいです、しかも合成洗剤のかさ密度は粉石けんより大きいので、合成洗剤用のスプーンを使って粉石けんを量り取った場合、スプーン1杯で30gかそれ以下しかありません。
粉石けんの標準使用量は、水30リットルに対して40g前後なので、合成洗剤用スプーンを使うと、明らかに使用量が足りません。 粉石けん計量用の専用スプーンを使うか、自分で計量カップを作るなどして、正確に計りとるようにして下さい。

(2) 使用水量に応じて粉石けん使用量を調節する
 最近の洗濯機は7kg、8kg洗いが主流になっています。これらの大型の洗濯機は、洗濯時に大量の水を使います。8kgを洗うときに洗濯時に水は60リットル使います。このときの、粉石けんの標準使用量は80gになります。また、少量の洗濯をする場合、水を20リットル使う場合は27gになります。
 このように、使用水量に応じて、ちゃんと計算しないと、粉石けん使用量が多すぎたり、少なすぎたりします。

(3) 全自動洗濯機の洗剤使用量表示には要注意!!
 これは多くの人が間違いやすい点です。最近の全自動洗濯機は洗濯物の量を自動で量って、使用する水の量と洗剤使用量を表示してくれます。洗剤使用量は何カップという表示ですが、この数字を信じて粉石けんを入れると、ほとんどの場合は使用量不足です。
 この洗剤使用量表示はコンパクト洗剤に合わせて表示されます。すなわち、コンパクト洗剤は標準使用量が、水30リットルに対して20g、そして計量スプーンは一杯で35gです。それに対して、粉石けんの標準使用量は水30リットルに対して40g、付属スプーンは40g(標準使用量)のものが多いようです。
 たとえば、水を45リットル使った場合、全自動洗濯機は洗剤使用量を「1カップ」と表示します。これは、コンパクト洗剤の最適使用量ですが、この表示を信じて粉石けんを使用した場合、40gしか使わないことになります。ところが、水45リットルに対して、粉石けんは60g必要なので、明らかに使用量が不足してしまいます。
 取扱説明書を良く読んでみてください。そして、粉石けん用に使っている計量スプーンから計算して、表示量の何倍入れるのが適当かを考えてみて下さい。大体、粉石けんの場合、表示の1.5倍が標準使用量になるはずです。

(4) 使用する水の硬度によって石けん使用量を調整する
 下の図は、水の硬度と気泡力の関係を表しています。硬度0(軟水)、硬度60(平均的な水道水)、硬度150(硬水)を比較していますが、石けんの場合、水の硬度で泡立ち方が全く違うことがわかります。
 黄色の線で石けんの標準使用量(水30リットルに40g)を示しましたが、硬水では全然石けんの量が足りません。逆に軟水では多すぎます。軟水では石けんの標準使用量の半分くらいで十分洗濯できることがわかります。
 使う水の硬度によって石けんの量を調整してください。関東圏、九州などでは標準使用量の1.2〜1.5倍程度必要ですが、大阪や京都などでは1〜2割少なくしてください。軟水を使う場合は標準使用量の半分を目安にしてください。





以上のことをまとめて表にしました。洗濯の時に参考にしてください。

洗濯量(kg) 水量(L) 石けん使用量(g)
硬度0 硬度50 硬度80 硬度120
1.5 30 22 40 46 56
3.0 45 34 60 68 84
6.0 60 45 80 92 112
注意:洗濯料は取説の80%としました。
    粉石けんは炭酸塩70%入りの標準使用量(水30Lに40g)を使って計算しています。
    粉石けんの種類によって適正使用量は変わってきます。


 ドラム式洗濯機の場合、洗濯時に使う水の量が少ないのですが、水の量にあわせて石けんを減らすと泡立ちません。洗濯物の量にあわせて石けん使用量を決めてください。石けんの量が多すぎると、泡が立ちすぎて、泡消しの水が加えられ、その結果石けんの洗浄力がなくなるなどのトラブルもでるので、しばらくは石けん使用量を変化させて最適量を見つけてください。


 5.粉石けんを溶かす

 粉石けんで洗濯がうまくいかないというトラブルの大部分は、@粉石けんの使用量が間違っている、、A粉石けんをうまく溶かせていない ことにつきます。この二つがきちんとできれば、石けん洗濯は怖くありません。
 合成洗剤は水に溶けやすいので、全自動洗濯機に洗濯物と一緒に振りかけて、スイッチポンでも大体うまくいきます。しかし、石けんでは間違いなく失敗します!

 石けんは、特に冷水に溶けにくいため、合成洗剤と同じ方法では、洗濯時がはじまってもなかなか溶けてくれません。溶けないので、濃度が低く、泡も立たないし、洗浄力が発揮できません。洗濯が終わっても、溶け残りが洗濯物に付着たままで、すすぎが終わっても白い粉として残ります。
 泡立たないので、粉石けんの量を2倍、3倍と入れてみる。これが最悪の結果をもたらします。大量の石けんを入れるのでかろうじて泡立ちますが、同時に大量の溶け残り、石けんカスが発生し、洗濯物に付着し、白い粉がふいたようになります。洗濯物もにおいや黄ばみが生じます。一方、洗濯機にも石けんの溶け残り、石けんカスが付着し、黒カビが発生します。

 粉石けんをきちんと溶かすことがどれだけ重要かわかってもらえたでしょうか?では、粉石けんをちゃんと溶かす方法をいくつかお教えします。

(1) 洗濯機で溶かす
 あらかじめ洗濯機に少量(15〜30L)の水を入れて、粉石けんを投入し、5分程度かき混ぜて溶かしてから、洗濯物を入れ、規定の水量まで水を追加して洗濯を開始する方法です。比較的手軽にできます。
 夏場で水温が高い時、あるいはいつもお風呂の残り湯を使える場合は、この方法でも粉石けんを溶かすことができるので問題ありませんが、過信は禁物です。
 冬場で水温が15℃以下の場合は、この方法では粉石けんを完全に溶かすことはできません。このような水温が低い場合は10分かけても完全には溶けません。溶け残りは、洗濯機に付着するので、冷たい水を使った洗濯機に、粉石けんを直接入れるのは厳禁です。
 溶けているかどうかは、洗濯液を透明なコップかペットボトルにとって、光にかざしてみてください。溶け残りがあると、白いつぶつぶが見えます。
 差し湯をすればいいと言う人もいますが、30〜50リットルの冷水にやかん一杯程度の差し湯をしてもほとんど水温は上がらないので効果はありません。せっかくお湯を沸かしたなら、差し湯にするのではなく、そのお湯を使って粉石けんを溶かした方がよほどいい結果が得られます。

(2) お湯を使ってバケツ(洗面器)と泡立て器で溶かす
 40〜50℃のお湯をバケツや洗面器に入れ、泡立て器で粉石けんを溶かします。この方法だと1分ほどで完璧に粉石けんを溶かすことができます。粉石けんは完全に溶かしさえすれば冷水でも実用的に十分な洗浄力を発揮します。特に、冬場は完全に粉石けんを溶かす工夫が必要です。

(3) 冷水ポットを使う
 100円ショップでも手に入る1リットルくらいのポリプロピレン製の冷水ポットも役立ちます。水を半分程度入れて電子レンジで温めます。この方法だとやかんより簡単に、しかも少ないエネルギーでわかすことができます。50〜60℃に暖めて、粉石けんを入れ、長いスプーンなどでかき混ぜれば粉石けんは完全に溶けます。簡単にできるのが特徴です。
 6.泡で洗濯の状態をチェックする

 洗濯がうまくいっているかどうかは泡の状態でチェックできます。洗濯がはじまった時点で、泡が全く立たない、白い洗濯液の中で洗濯物が回っているだけの場合は明らかに石けんが不足しています。この場合は粉石けんを追加してください。上の(3)の方法で粉石けんを溶かして追加すると簡単です。液体石けんは高価ですが、追加に使うには便利です。

 しかし、ここで注意しなければならないのは、泡にこだわって石けんを使いすぎてしまうことです。洗濯機が動き出してからは、もこもこ泡が増えることはありません。泡が立たないからと入って、石けんをどんどん追加して、標準使用量の2倍、3倍、5倍・・・くれぐれもこのような間違いはしないでください。
 石けん液をペットボトルにとって振ってみれば泡立つかどうかチェックできます。ペットボトルが泡立っていれば大丈夫です。

 泡ばかり気にして、洗濯機の水を手でかき混ぜて泡立たせることも全く意味がありません。

 洗濯が終わった時点で、洗濯液をペットボトルにとって少しでも泡立つなら大丈夫です。石けんの適正量は、このようにチェックできますので、自分の使っている洗濯機、洗濯物の種類、水、粉石けんにあった適正量を見つけてください。くれぐれも石けんの使いすぎには注意してください。

 洗濯は、洗濯物の量、汚れ方でコースを使い分けます。当然ですが、強い水流、長い洗濯時間をかけると、汚れは落ちますが、布も傷みます。


 7.すすぎ

 すすぎ1回目で、衣類に残っている石けんは100%石けんカスに変わります。この石けんカスが衣類に再付着する(再汚染)とにおいや黄ばみの原因になるのでコツがあります。
@1回目の脱水は念入りにして、衣類に残る石けんをできるだけ少なくすること
Aシャワーすすぎのある機種は利用すること
Bすすぎ1回目でいきなり冷水を使うと石けんが溶けなくなって衣類に残留するので、できればすすぎ1回目までは残り湯を使う
Cだらだら長時間ためすすぎをしていると、石けんカスで衣類が再汚染されるのですすぎはほどほどに
などです。


 8.洗濯物を干す

 脱水が終わったらできるだけ早く干すようにしてください。いつまでもぬれたままにしておくと残留した石けんに微生物が繁殖してピンクに着色することがあります。また、衣類にカビが繁殖することもあります。
 洗濯物を干すときは、殺菌効果もある日光に当てることが原則です。どうしても部屋干ししなければならない場合は、扇風機を回して、空気を循環させると早く乾燥します。
 洗濯乾燥機は楽なことは楽ですが、完全に乾かすまで時間がかかる、非常に電気代がかかる(当然温暖化にもつながる)ので、最低限にしてください。

 使い終わった洗濯機はふたを開けて中を乾燥するようにするとカビの発生を抑えることができます。


 9.その他の工夫

(1) 部分洗い
 襟、袖、靴下、シミなどはふつうに洗濯してもなかなか汚れが落ちません。落ちるまで洗濯条件を念入りにすると、一緒に洗った衣類が早く傷んでしまいます。
 このような部分汚れには、液体石けんか固形石けんを塗りつけて、ブラシでこすっておくと汚れはきれいに落ちます。洗濯用の固形マルセル石けん(ケイ酸塩入り)は洗浄力も高く、安価なので1つあると便利です。

(2) 予洗い
 汚れの多くは水だけでも落とすことができます。汚れのひどいもの、汗でびっしょりのものなどは軽く水で洗ってから洗濯すると、石けんが効果的に使われます。ただし、予洗いしても石けん量は減らさないでください。石けんの使用量は使う水の硬度で決まるので、予洗いをしても石けんを減らすことはできませんが、石けんを増やすことを抑えることができます。

(3) リンス
 ウールの洗濯ではクエン酸リンスはアルカリで開いたキューティクルを閉じるので効果があります。
 日常の洗濯にリンスが効果があるかどうかは疑問ですが、すすぎの早い時期で酸性リンスをすると、石けんが脂肪酸に変わって衣類に残留しますから、十分にすすいだ後行ってください。
 化繊で、静電気が気になる場合は、乾燥時にグリセリンを少量溶かした水をスプレーしておけば改善されます。