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自宅でできる水蒸気蒸留 −エッセンシャルオイルを作る−


■エッセンシャルオイルやフローラルウォーターを作りたい

 石けんや化粧水を手作りする人にとってエッセンシャルオイルや芳香蒸留水(フローラルウォーター)はなくてはならないものです。しかし、それらは高価で、ほんの少しだけほしいときでもまるまる1本買うしかありません。そして消費期限も短く、使い切るまで持たないことも多いのではないでしょうか。特にフローラルウォーターは、手作り化粧水に使いたくても、期限が短すぎて気軽には使えません。
 また、庭にハーブや花を育てている人も多いと思いますが、自分が無農薬で大切に育てたハーブなどを使ってエッセンシャルオイルが作れたらと思う人もいるのではないでしょうか?そして、季節ごとに咲く花を使って、自由にフローラルウォーターを作れたら、どれだけ楽しいか。
 今回は、そんな人たちのために、エッセンシャルオイルを簡単に自宅で作る方法を紹介します。

■エッセンシャルオイルの作り方

 エッセンシャルオイルは、植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などを原料にして、主として水蒸気蒸留で作られます。
水蒸気蒸留器の原理図を下に示しました。装置は蒸気発生部と冷却部からなります。蒸気発生部は、家庭で使う蒸し器のようなもので、お湯を沸かして水蒸気を発生させ、ハーブを蒸すような流れでハーブに含まれる芳香成分を水蒸気と一緒に冷却部に導きます。水蒸気の温度は100℃ていどで、ハーブ成分の中には沸点が100℃以上のものもありますが、この水蒸気蒸留という方法を使えば、沸点の高い成分も一緒に取り出すことができます。
 
 蒸気発生部から冷却部に導かれた芳香成分は、冷却部で冷やされて凝縮して液体になります。受け器にためられた液体は水蒸気が凝縮した蒸留水とエッセンシャルオイルが混ざったものですが、しばらく放置すると、水より軽いエッセンシャルオイルが表面に浮いてきます。このとき蒸留水にも芳香成分の中でも水に溶けやすい成分とエッセンシャルオイルの一部がとけ込み芳香臭がします。この蒸留水を芳香蒸留水(フローラルウォーター、ローズウォーター)とよびます。
 エッセンシャルオイルは、原料の1%かそれ以下しか含まれていないので、100gのハーブからエッセンシャルオイルは1g以下しかとれません。フローラルウォーターは100mL程度はとれます。

    


■水蒸気蒸留器の作成

 水蒸気蒸留器の原理は簡単ですが、家庭用水蒸気蒸留器はほとんど市販されていませんし、市販されているものも非常に高価で、なかなか手を出せるものではありません。
 そこで、手に入る材料で水蒸気蒸留器を作ることができないか考えてみました。蒸気発生部は蒸し器か圧力鍋で代用できそうです。冷却部も簡単なので、材料を集めれば作れそうです。

   蒸気発生部は、熱伝導率のよいアルミ芯材を使った多層金属鍋を加工しました。

冷却部は、やはり熱伝導率のよいアルミ合金とアルミパイプで作りました。冷却は水道水を使い、連続給水冷却もできるようにドレーン(排水口)もつけています。
冷却用アルミパイプは、コンパクトにスパイラル状に加工しました。熱伝導率がよいので、このサイズで十分冷却でき、エッセンシャルオイルを取り出すことができます。


■エッセンシャルオイルやフローラルウォーターを作ってみる

 この水蒸気蒸留器を使ってハーブ、花、果実などからエッセンシャルオイルとフローラルウォーターを作ってみました。

蝋梅

2月に甘い臭いを漂わせる蝋梅が手に入ったので水蒸気蒸留してみました。
梅の香りのように繊細な香りは水蒸気蒸留では抽出しにくいのですが、もとの香りほど甘い香りではないものの、ほのかに梅の香りのするフローラルウォーターができました。
蝋梅の芳香成分は水溶性のものが多いのでエッセンシャルオイルはとれませんでした。
水仙

1月から2月に、やはりさわやかな香りを漂わせる水仙を水蒸気蒸留してみました。
蝋梅と同じように水仙の微妙な香りではありませんが、水仙の香りの残るフローラルウォーターができました。ただ、花だけでなく葉まで使ったので、やや青臭いものになったのは反省点です。
エッセンシャルオイルはとれませんでした。
オレンジ

柑橘類は圧搾法でエッセンシャルオイルを取ることが多いのですが、水蒸気蒸留法でもできます。
できたフローラルウォータの表面に少量のエッセンシャルオイルが浮いていました。今回は原料の量が少なかったのですが、量が多ければ、エッセンシャルオイルは単離できそうです。
ローズマリー(ドライハーブ)

100gを使って水蒸気蒸留しました。部屋中に芳香臭が漂います。香りの強い芳香蒸留水が得られました。エッセンシャルオイルも1mL程度作ることができました。
ラベンダー(ドライハーブ)

50gを使って水蒸気蒸留しました。大変よい香りが立ちこめます。ラベンダーの香りのフローラルウォーターを作ることができました。
エッセンシャルオイルも2mL程度作ることができました。
イチゴ

600gを使って水蒸気蒸留しました。イチゴの甘い香りが濃縮されたフローラルウォーターができました。エッセンシャルオイルはできませんでした。
パイナップル

パイナップルを食べて、残った皮と芯を水蒸気蒸留してみました。ほのかにパイナップルの香りはしますが、それほど強いものではありません。エッセンシャルオイルは取れませんでした。
ミント

フレッシュミントの葉170gを水蒸気蒸留しました。ミントの香りの強いフローラルウォーターが取れました。エッセンシャルオイルが取れると思ったのですが、ミントの量が少なかったのか取れませんでした。
エッセンシャルオイルを取るには1kgは必要のようです。
サクラ

花びらを集めて水蒸気蒸留しました。水仙、蝋梅もそうでしたが、このようなデリケートな花の香りを水蒸気蒸留するのは難しいようです。ほのかなサクラの香りが残るフローラルウォーターができましたが、香りは強くはありません。
さらに、塩析してオイルに香りを移してサクラオイルも作ってみました。
高山槙(こうやまき)

高野山では霊木とされ、枝葉を御仏前に供えるのが古くからの慣わしとなっている高野槇。枝葉は独特の芳香があり、その製油は和の精油として珍重されています。条件をいろいろ変えて蒸留したのですが、得られた精油は1kgから0.5mL程度。鮮烈で荘厳な香りがします。
この精油は日本航空のファーストクラスのおしぼりにも使われたそうです。.
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