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肌水分を計る


■肌水分を計る
 冬季は湿度が低下し、肌の乾燥を感じる人が増える季節です。肌水分は、一般的に、加齢とともに低下すると言われていますが、個人差が大きく、室内の湿度や入浴、洗顔、体調などで大きく影響されます。
 自分の肌水分を知り、必要な場面で、的確なケアを行えれば、スキントラブルも減るのではないかと考えられます。今回は、肌水分計を用いて、様々な条件での肌水分を計り、どのように肌水分をコントロールできるかを考えてみました。


■肌水分計
 肌水分計は、肌表面の角質に水分が含まれると電気が流れやすい性質を利用して、肌表面の電気抵抗を、生体電気インピーダンス法(BIA法)で計測し、肌水分を求める方法です。今回用いた肌水分計は、肌水分を 0±5 の11段階で表示するもので、水分値の精密な数字は表示されませんが、0 を標準として、-2、-1、1、2などの簡単な数値で肌の状態を評価できます。数値の意味は次のとおりです。

    


■部位による肌水分の違い
 肌水分は、測定する場所によって異なりますので、自分の値を知っておく必要があります。以下に部位別肌水分値の例を示します。

部位   額  目尻  ほほ  眉間  あご   鼻   首  手首   腕
肌水分値 -1 0 0 0 0 -4 0 -3 -3

 肌水分は、部屋の気温、湿度、入浴、洗顔などで大きく変化します。目尻や頬の値は、湿度の低い車で運転中は-2まで低下し、温泉入浴後は30分たっても計測不能(5以上)が続きました。


■肌水分の個人差
  20代から50代まで20名の肌水分を測定してみました。測定場所は手首の上としました。この部分は、直接外気に触れず、化粧品等も付けないので、個人差が評価しやすいと考えられます。肌水分値の平均は-1.5。男性平均は-1.3、女性平均は-1.7で、女性の方が低い値でした。年齢と肌水分の関係は、弱い相関は見られるものの、個人差が非常に大きいという結果でした。

     


■保湿剤の効果
 化粧石けんで洗顔後、顔の左半分に保湿化粧水*1を付け、経過時間と肌水分値の変化を調べました。保湿化粧水なしの場合、洗顔後2分以内で、肌水分値は洗顔前の値に戻り、つっぱり感と乾燥を感じました。
 保湿化粧水ありの場合、肌水分値は対照に比べて、1〜2ポイント高い値を示し、その効果は60分以上持続しました。洗顔後の保湿は有効であり、この方法で保湿剤の効果を評価できることがわかりました。

  *1 肌水にヒアルロン酸原液10%、グリセリン5%を添加したもの

     


■洗浄剤の違い
 浴用洗浄剤の種類は多く、保湿剤が配合されたものもありますが、その効果は客観的に評価できませんでした。今回、左右の腕を、@純石けんと、A手作り石けんで洗い、比較してみました。
 手作り石けんには、10%の過剰油脂とグリセリンが含まれ、洗浄後、肌に油脂が残ることで保湿力があるとされています。結果は、純石けんで洗浄した腕は、皮脂が除去されるため、洗浄後乾燥が進み、つっぱり感も残りましたが、手作り石けんでは、つっぱり感もなく、洗浄前とほぼ同じ値を保ちました。自分にあった洗浄剤も、肌水分を指標に選ぶことができます。

     


■水の違い
 嬉野温泉は美肌の湯として知られており、入浴後肌がしっとり、すべすべになります。これは、@硬度が低いこと、A重曹成分が含まれ弱アルカリ性であることが理由です。特に、硬度が低い水は、石けんカスができないので、肌には脂肪酸が残ります。これが、入浴時にぬるぬるする理由で、入浴後は保湿剤として働き、しっとりします。嬉野温泉の組成になるように人工温泉水*2を作り、水道水(硬度40)と比較しました。純石けんを用いて、左右の腕を別々の水を使って洗った結果は、温泉水を使った場合、水道水に比べて肌水分値が1〜3ポイント高い値を示しました。実感でも、肌はすべすべし、しっとり感が感じられました。

  *2 硬度0の軟水10 Lに、炭酸水素ナトリウム12 g、炭酸ナトリウム1 g、食塩 4 gを溶かしたもの

     


■まとめ
 肌水分計で、自分の肌水分を知ることで、日常生活、洗顔、入浴後のケアの効果を客観的に評価できることがわかりました。肌質にあった、洗浄剤、保湿剤の選択に利用できそうです。また、嬉野温泉水が、美肌の湯である事が数値で示されました。冬季は、軟水のお風呂が乾燥肌に有効であることが示唆されます。

 肌水分計は、amazonなどで、安いものなら1300円〜2000円程度で購入できます。