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ペットボトルでかんたん、安全に石けんを作る


■ペットボトルでかんたん・安全に石けんを作る


 この方法は、簡単にいうと、ペットボトルに油を計り取り、そこに苛性ソーダ溶液を入れてふり混ぜるだけ、というものです。今までのように、ボールも、泡立て器もいりません。ペットボトルは密封されるので、石けん生地が飛び散るということもありません。泡立て器に比べて簡単に均一に攪拌できるので、トレースが出るのも早く、失敗することはほとんどありません。片づけも簡単です。ペットボトルに残った石けん生地は、そのまま1週間ほど放置しておくと石けんになるので、ペットボトルに水を入れて液体石けんにして使うことができます。ゴミは全く出ません。また、ペットボトルを数本用意すれば、同時にいろいろな種類の石けんを作ることができます。


■石けん作りの道具

(1) 2リットルペットボトル
 繰り返し使うことができますが、使う前にヒビなどが無いことを確かめてください。まとめて作った石けん生地を小分けし、ハーブなどを加えるなどしていろいろな種類の石けんを作ろうと思うなら、同時に500mL程度のペットボトルも用意してください。ポリエチレン製の冷水筒(蓋がきちんと閉まるもの)などもペットボトルと同様に使えます。

(2) ペットボトルジャケット
 油と苛性ソーダを入れて振り混ぜるときに使う、ペットボトルを保温するためのジャケットです(ホームセンターなどで入手できます)。またはタオルか毛布、余ったフリースなどで封筒状に作ってもいいでしょう。これがあると保温だけでなく、万一ペットボトルが破裂したときも石けん生地が飛び散らないため、より安全になります。


(3) 200mL計量カップ
 苛性ソーダを計り取るために使います。プラスチック(ポリエチレン製)のものを用意してください。

(4) 500mL計量カップ
 苛性ソーダを溶かすために使います。ガラス製のあまり肉厚でないもの、またはポリエチレン製のものを用意してください。


(5) ステンレス製のスプーン
 苛性ソーダを計り取るときと、水に溶かすときに使います。アルミ製は苛性ソーダに侵されるので使えません。プラスチック製のものは量り取りには使えますが、溶かすときには熱で変形するので使えません。

(6) ペットボトルを浸けることができる鍋
 湯煎(直接火にかけず湯に入れて間接的に温める方法)をするときに使います。計り取った油を温めたり、石けん生地がさめないように温めるときなどに必要です。

(7) デジタルはかり
 料理用の1g単位で量り取れるもの。苛性ソーダを計り取ったり、油を計り取ったりするときに使います。


(8) 温度計
 ガラス製で100度まで計れるもの。

(9) クーラーボックスか発泡スチロール製の箱
 石けん生地を保温するときに使います。

(10) ゴム手袋、めがねかゴーグル、マスク
 肌や目、鼻の粘膜を苛性ソーダから保護するために使います。

(11) 石けんの型
 タッパー、ポリプロピレン製の容器、牛乳パック、耐油紙でできたケーキ用の型など


(12) チーズナイフか包丁
 石けん生地を切るときに使います。穴の空いたチーズナイフだと石けん生地がナイフにつかず、きれいに切れます。




■石けん作りに使う油や材料

(1) 原料の油
 レシピを参考に、石けん原料の油脂をそろえてください

(2) 水
 精製水(薬局で購入できる)を使ってください。ミネラルウォーターは、石けんの酸化を促進する金属分が入っているので使えません。j浄水器の水もミネラル分が残っているので使えません。地下水、湧き水などのおいしい水もミネラル分が多いので使えません(おいしい水は飲用に使いましょう)。軟水はミネラル分が含まれていないので石けん作りに使えます。ただし、塩素が残っていると酸化が進むので一度沸騰させてから使うか、活性炭で塩素を除去してください。

(3) 苛性ソーダ
 薬局で購入できます。劇物扱いなので、購入の際は印鑑が必要です。

(4) その他の材料
 エッセンシャルオイル、ハーブ、クレイ、スクラブ用の素材など、入れたいと思う材料を準備してください。



■石けん作りの手順

(1) 油をペットボトルに計り取る。
 原料の油をペットボトルに計り取ります。デジタルはかりにペットボトルを乗せ、ペットボトルの中に直接、油を入れながら計り取ればいいでしょう。目盛りが必要な分量に近づいたら、目盛りを見ながら、ゆっくり、少しずつ入れてください。パーム油、ココナッツ油などは室温が低いと固まっていることもあるので、熱いお湯の中に入れて湯煎し、溶かしてから入れてください。


(2) 苛性ソーダを計り取る。
 200mLプラスチック製計量カップをデジタルはかりにのせて、苛性ソーダを計り取ります。苛性ソーダを扱うときは、必ずゴム手袋保護めがねを付けてください。また、苛性ソーダがこぼれた場合を考えて、テーブルには新聞紙をひいてください。


(3) 水を計り取る
 ガラス製、またはポリエチレン製の500mL計量カップに、精製水を計り取ってください。計量カップの目盛りよりデジタルはかりで計り取った方が正確に量れます。

注意: 苛政ソーダを溶かす容器は肉厚が薄いガラス製を使ってください。ジャムの瓶など厚い瓶は頑丈そうに見えますが、厚いガラス瓶は苛性ソーダを作るときの熱で割れて、中身が飛び散ることがあるので大変危険です。
プラスチック製のカップも使えますが、熱で変形することがあるので必ず耐熱性(100度以上)のものを使ってください。


(4) 苛性ソーダを溶かす
 苛性ソーダを溶かすと、急激に水温が上がり、苛性ソーダを含んだ蒸気が発生します。底が平らなステンレス製の鍋かバットに水の入った計量カップを入れ、保護めがねとマスクをつけて換気扇の下で作業してください。苛性ソーダは一気に入れると温度が急激にあがるので、数回に分けて入れましょう。作業は換気扇を回しながら、風上側で行なってください。溶かした後、苛性ソーダ溶液の温度が40〜50℃になるまで冷まします。計量カップを入れた鍋やバットに水をはり、そこに氷を入れて冷ましてもかまいません。

注意: 必ず水の中に少量ずつ苛性ソーダを入れてください。苛性ソーダの中に水を入れると急激に温度が上がり大変危険です(これは化学の常識です)。
 苛性ソーダを
ペットボトルで作らないでください、熱で変形することがあります。耐熱性のプラスチック瓶で作るときも、苛性ソーダを入れた後は絶対に蓋をしないでください、急激に温度が上がり、内部の空気が膨張し爆発する危険があります。蓋を開けたまま苛性ソーダ溶液の温度が冷えるのを待ってください。



(5) 油を暖める
 鍋に水を入れて、お湯を沸かします(沸騰させる必要はありません)。お湯がわいたら火を止めて、油の入ったペットボトルをお湯に浸け、時々ふり混ぜながら油の温度が40〜50℃になるまで暖めてください。このとき、鍋の火は必ず止めてください。火がついたままだと、ペットボトルが鍋の底に触れたときに溶けてしまいます。

(6) 油に苛性ソーダを入れる
 油の入ったペットボトルに苛性ソーダ溶液を注ぎ入れます。

(7) 油と苛性ソーダを混ぜる
 この作業は必ず保護めがねとマスクをつけて行ってください。万一の場合ペットボトルの蓋が外れて中身が飛び散る場合があります。
 ペットボトルの蓋をしっかり閉めてください。次に、ペットボトル全体をポリ袋で覆い、ペットボトルジャケットに包んでください。こうすれば、ペットボトルの蓋が外れたり、本体が破損したときも中身が飛び散らず安全です。

ペットボトル全体をポリ袋で包む さらにペットボトルジャケットで包む

 はじめの10分間は止めることなくしっかりふり混ぜてください。と言っても、ペットボトルを大きく振り回す必要はありません。中の油がつねに動いて混ざり合っている状態であれば十分です。その後は、固まり方を見ながら30分に1回ぐらいふり混ぜてください。
 万一蓋が外れたときのことを考えて、ペットボトルは横にして振ってください。その時、蓋の方向に子供やペットがいないことを確認してください。

× ×
マスクと保護めがねを必ず着用。
ペットボトルは口を横に向けて振
ると蓋が外れたときも安全です。
蓋を上に向けて振ると、蓋が外れ
たとき中身が顔にかかることがある。
蓋を横にしたとき、蓋の方向に
子供やペットがいないことを確認。

 中身がどろどろしてきてマヨネーズくらいの硬さになるまで、そうやってときどきふり混ぜてやります。マヨネーズ状の硬さになるまでの時間は、油の種類にもよりますが、30分から数時間。ボールと泡立て器を使った場合の、ほぼ1/3ぐらいの時間で型入れどきになります。
 ふり混ぜている途中で温度が下がってきたら、ペットボトルを湯煎して、40℃程度に暖めてください。この時、あまり温度を上げすぎないようにしてください。ペットボトルの中の空気が膨張して、最悪の場合蓋が飛んだり、ペットボトルが破損する場合も考えられます。

(8) 型入れ
 オイルがマヨネーズ状の硬さになったら、ハーブ粉末、保湿力を高めるための油などを加え、手早く振りまぜたあと、用意した石けん型に石けん生地を流し込みます。タッパーなどのプラスチック容器を使うときは、ワセリンを塗っておくと後ではずしやすいようです。使い終わったペットボトルは洗わずにそのままにフタをしておいてください。1週間ほどすると中身が石けんになっているので、そこに100ccほどの水を入れ、振って溶かせば液体石けんとして使えます。

注意: 蓋を開けるときは十分に注意してください。ペットボトルの中の圧力が上がっていると、蓋を開けたとたんに中身が飛び出す場合もあります。必ずマスクと保護めがねをしてください。また、蓋は、ペットボトルをポリ袋で覆ったまま開けてください。こうすれば、中身が飛び出しても安全です。

×
マスクと保護めがねを着用。
蓋は低い位置で、顔にかからない
ような方向に向けて開ける。
顔に近い位置で開けると危険

(9) 保温
 石けん生地を流し込んだ型を、クーラーボックスか発泡スチロールの箱に入れ、寒暖の差が少ない部屋や押入の中に入れ、24時間放置します。このとき、温度が急激に変化すると、石けん生地が分離したり、石けんの結晶化がうまくいかず、もろい石けんになったりするので注意してください。24時間はのぞかないこと。保温のためにお湯の入ったペットボトルを入れる必要はありません(温度が変化しますから)。それよりも型入れ前に生地の温度を40℃になるように温めた方がうまくいきます。

(10) 型出し
 24時間後に、石けんを型から取り出します。柔らかくて型出しできそうもないようなら、保湿箱から出して、そのまま1日〜1週間程度置いておきます。牛乳パックを型に使えば、壁に沿ってナイフを入れると容易に型出しできるので簡単です。型出しした石けん生地は、ナイフで使いやすい大きさに切って、直射日光が当たらない風通しの良い場所で乾燥させます。1〜2ヶ月で使えるようになります(硬く、溶け崩れにくい石けんは1ヶ月程度、オリーブ石けんのように溶け崩れやすい石けんは2ヶ月程度乾燥させてください)。




■ちょっと便利な小物を作る

▼牛乳パックで石けん型を作る
牛乳パックを使うと、いろいろな形の石けんを作ることができて楽しみが広がります。



▼石けんカット台を作る
石けんカット台があれば、石けんをきれいに切り分けることができます。ホームセンターで材料の板をカットしてもらい、写真のように貼り付けるだけで、簡単に石けんカット台を作ることができます。