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脂肪を固めるダイエット食品はウソ?


■脂肪を固め吸収されにくくするダイエット食品

 雑誌広告、テレビショッピングで大人気のダイエット食品ですが。この一つに脂肪を固めて吸収されにくくするという物があります。
 テレビでの実験は以下のうようなものです。
(1) 水と油の入ったビーカーを用意する
(2) ダイエット食品(粉末)をビーカーに入れてかき混ぜる
(3) ビーカーの中の油がみるみる固まっていく
(4) このようにして油を包み込んで吸収されにくくするとの説明

 非常にわかりやすく説得力のある説明です。しかし、ビーカーの中でうまくいっても、これが本当に人の体の中でも同じことになるのでしょうか?そして、本当にダイエットに効果があるのでしょうか?
 
■(独)国立健康・栄養研究所の研究

 厚生労働省の研究機関である国立健康・栄養研究所が、このダイエット食品について研究を行いました。

   http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail.php?no=275

 実験はラットを用いて、通常の食事と同時にダイエット食品を摂取させ、糞便中の脂質、炭水化物、たんぱく質の量、臓器、脂肪組織の重量および血清中性脂肪、総コレステロール等を測定しています。
 その結果、ダイエット食品を説明書通りに与えても、体重、脂肪組織、血中脂肪に変化はなく、ダイエット食品には宣伝ほど効果がないということがわかりました。

■消化器はビーカーではない

 このことから私たちは何を学ぶ必要があるのでしょうか?
まず、疑うべきは「ビーカーの実験がそのまま人の体の中で起こっているのか?」ということです。
 これらのダイエット食品は食物繊維などを主成分にして、脂肪と結合し、ゲル状に固めます。ビーカーの中では固まったままですが、これが体の中に入った場合全く状態が変わります。脂肪は主としてアルカリ性の腸内で加水分解を受けたり、リパーゼのような酵素で分解されます。ビーカーと違って消化器は温度も高く、常に動いています。ビーカーの中では固まっていた脂肪も、消化器にはいるとすぐにばらばらに分解・吸収されてしまいます。

 医薬品などの開発には、
(1) その物質の物理化学的性質を調べる
(2) 微生物や細胞などを使った有効性、毒性試験
(3) マウスやラットを使った有効性や毒性試験
(4) 人を使った体内動態試験
(5) 人を使った有効性や副作用の試験
 などの多くの試験を行った後、初めて製品として販売されます。
 
 ダイエット食品はただの食品扱いなので、このような試験は義務づけられていません。
今回の例では、単に(1)の性質を調べたに過ぎません。動物実験さえ行われていないのに、あたかも効果があるように広告されていました。

 近年、健康に対する関心が高まり、肥満防止は重要な課題と認識されるようになってきました。様々なダイエット法が公開され、ダイエット食品の売り上げも急増しています。しかし、そんな中でも、私たちは、このような健康情報に常に注意し、高価でありながら効果のないようなインチキ製品には手を出したくないものです。